2024.01.29
コラム
2024.01.29
今回の記事は、土地活用の方法の1つである「リースバック方式」について解説します。
リースバックといえば、自宅を売却した後も自宅に住み続けられる方法として知られていますが、今回はその方法とは別のリースバックについてお届けします。
\こんな内容を知りたい方にオススメ!/
「借地にする以外で土地活用がしたい」
「リースバック方式が何か知りたい」
「リースバック方式でできる事業が知りたい」
「リースバック方式(=建設協力金方式)」とは、土地活用の方法の1つです。
リースバック方式では、地主が土地を借りたい(活用したい)事業者から建設協力金を借りて(無利子or低金利)建物を建築し、事業者はその建物を使って事業を行います。
リースバック方式を始めると、地主は事業者から受け取ったお金で地主名義の建物を建てられるだけでなく、その建物の所有権も得られます。
初期費用を抑えながらも、借地料よりも収益を得られる建物賃料を得られます。
※借地料・・・借りている土地の地主に対して払う土地の使用料
※建物賃料・・・借りている建物の所有者(オーナー)に対して払う建物の使用料
地主がもらう建設協力金は、毎月の建物賃料から差し引かれる形で返金されます。
このことから、「リースバック方式」と呼ばれています。
ちなみに今回紹介しているリースバック方式は、土地活用の内容に限ります。
自宅を売却して住み続ける不動産売却方法の「リースバック」とは別物ですのでご注意ください。
リースバック方式で土地を借りると、コンビニの経営ができるようになります。
フランチャイズにすると建設から運営までをコンビニ本社に任せられるため、負担が減るでしょう。
ただし、リースバック方式を活用すると建設〜開店までの期間は地主との関わりがほとんどなくなりますが、その間も土地は活用しているため建物賃料は支払わなければならないことを理解しておきましょう。
実は定年退職後にコンビニ経営を始める人は多く、知識・経験がない地主でも着手しやすいジャンルです。
しかし、「コンビニ経営が簡単」というわけではありません。
もしコンビニ経営が上手くいかずに潰れてしまっても、リースバックですので事業者は建物賃料の支払いがなくなるくらいでリスクは低いでしょう。
リースバック方式の土地活用として、「福祉施設の経営」も挙げられます。
自己資金で一から福祉施設を建築・経営するのはかなりハードルが高いでしょう。
福祉施設では1つのミスが命に関わるため、福祉はもちろんビジネスの素人や未経験者が始めるべきではない分野です。
しかし、既存の福祉施設を運営する事業者とリースバック方式の契約を結べば、知識や経験も得られます。
土地活用で比較的始めやすいのが「駐車場経営」です。
駐車場形には「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があります。
リースバック方式で経営できるのは「コインパーキング」のみです。
買い物が多い市街地であればコインパーキングの需要は高く、収益も見込みやすいでしょう。
しかし、コインパーキングの経営には時間がかかってしまいます。
コインパーキングに必要な専用機材を導入するために時間がかかってしまい、実際に運用できるまでに数カ月かかってしまうことが多いのが実情です。
また、立地によっては経営が成り立たない可能性があります。
リースバック方式の代表的な事業例としてよく挙げられるのが、「アパート経営」です。
建設協力金をもらい、地主が自分の土地にアパートを建築します。
その後はアパートを経営してくれる事業者に貸し出せば、入居者の募集や対応・宣伝などをすべてしてもらえます。
経営が始まってしまえば、ほぼ手間をかけずに収益を上げられることが大きなメリットです。
しかし、アパート経営は土地を整備してアパートを建築し、入居者が入居するまでに6カ月〜1年ほどはかかると思っておいた方が良いでしょう。
ですので、地主からすれば契約が始まってしまえば入居者が入居する前でも事業者から賃料で収益を上げられますが、事業者は入居者が入居してからでないと収益を上げられません。
立地が良ければその分入居者が安定して家賃収入が定期的に得られるため、事業者も撤退しにくいと考えられます。
もしリースバック契約が切れても残ったアパートは所有者である地主が売却可能ですので、資産価値が残っていればその分も資金源にできます。
テナント経営とは、アパート経営のテナントver.です。
アパート経営では建物に入居する人物が個人でしたが、テナント経営では事業者が入居します。
しかし、ここでの「事業者」とは地主とリースバックを契約する事業者とは別物ですので注意してください。
地主とリースバックを契約する事業者を(A)とすると、事業者(A)が賃貸契約を結ぶのはテナントに入居してくる事業者(B)となります。
テナントに入居する事業者はアパートに入居する個人と違い、簡単には退去しません。なぜなら、事業所を変えることは手間やコストを考えるとマイナスになるからです。
また、テナント経営はアパート経営と類似しつつも、より多くのメリットを得られます。
例えば、大規模なテナントでない限りはアパートよりも早くかつ安く建てられます。
さらに、家賃・敷金・礼金・更新料などもアパートの入居者よりもテナント事業者に対しての方が高く請求可能です。
しかし、こちらも立地によっては需要に差が出てしまいます。
事業者が収益を見込める立地に土地をお持ちの方は、ぜひリースバック方式での土地活用を検討してみてください。
建築費を自己資金からまかなったり、ローンを組んだりする必要がない
地主は事業者から無利子or低金利で資金を借りられます。
土地を手放さずに土地活用しながら収益を得られる
土地上で行う事業に対して、コストや手間をかけなくて良い
もし事業者が中途解約した場合でも、地主に保証金の返済義務がない
リースバック方式の契約で建てた建物の所有権は地主になるため、建物を所有するにあたってかかる税金や保険料などの支払いが発生する
事業者との契約が終わると、建物はそのまま残っても同じ事業以外で活用しづらい
(例)コンビニ経営が終わると、その後はコンビニ以外を経営しづらい
リースバック方式で契約すると、土地も建物も所有権は地主のものになります。
不動産を所有することで発生する支払いやリスクを抱えることなく事業を始められます。
リースバック方式では、建物の所有権は地主にあります。
契約を終えて事業を撤退したとしても事業者は建物の残存には関与しなくて良く、建物の残存に関わる手間を省けます。
建設協力金はあくまでも事業者が地主に貸しているお金です。
返済費用は、事業者が毎月払う家賃と相殺することで分割返済されます。
そのため地主はローンを組む必要がなく、返済の負担が軽くできます。
地主とのリースバック契約を中途解約すると、保証金の返還を放棄しなければならない
リースバック方式に似ている土地活用の方法に「事業用定期借地権」があります。
これは、定期借地権の1種です。
※定期借地権・・・更新のない
更新:なし
契約期間:10年以上50年未満
10年以上30年未満
「契約更新」「建物再築による契約期間の延長」「建物買取請求」、以上の内容はすべて不可
30年以上50年未満
「契約更新」「建物再築による契約期間の延長」「建物買取請求」以上の内容の中からどの特約を有効にするかを選べる
再契約:可能(ただし、借地人が望む場合にのみ地主と協議する必要がある)
契約期間が終了すると、借地人は土地を更地にして変換しなければならない
借地人は借地に居住用の建物を建てられない
公正証書による契約が必須
※借地人・・・建物の所有を目的にしている地上権かつ土地の賃借権を持つ人
※公正証書・・・私人(個人や法人)からの依頼で、公証人が権限にもとづいて作成する公文書
リースバック方式 | 事業用定期借地権 | |
契約期間 | 15〜20年 | 10〜50年 |
契約終了後の建物の扱い | 建物が残る | 更地にして変換 |
建物の所有者 | 地主 | 借地人(テナント) |
借入の負担 | ない/少ない | ない/少ない |
費用の負担 | 事業者が建設協力金 と賃料を支払い | 事業者が建物を 建築するための費用を負担 |
相続税対策 | 貸家建付地として 控除を受けられる | 貸宅地として 控除を受けられる |
収益性 | 高め | 低め |
事業用定期借地権とリースバック方式のどちらを利用するのが良いかは、人によります。
しかし、あえてお伝えするならば「自己資金が少ない方はリースバック方式」の方をオススメします。
なぜなら、リースバック方式であれば毎月賃料を得られるだけでなく、建物を建築するための建設協力金の両方を事業者から得られるからです。
リースバック方式の方が、地主にとっては少ない自己資金で土地活用を始められます。
地主と事業者のどちらの立場なのか?契約期間は?など、利用目的が人によってどちらの方法が良いのかは異なりますので、それぞれに合った方法をよく検討して選びましょう。
今回の記事は、土地活用の方法の1つである「リースバック方式」について解説しました。
リースバック方式は、土地活用でお悩みの方にオススメしています。
少ない初期費用で借地料よりも高い建物賃料を得られるからです。
リースバック方式では、地主が事業者からお金を借りつつ、土地と建物の所有権を保持して賃料を得られます。
リースバック方式を利用すると、
などの幅広い事業で土地活用が可能です。
リースバック方式には、地主側と事業主側のそれぞれにメリット・デメリットがありますので、両方を理解したうえで利用しましょう。
どちらの利用が向いているかは人によりますが、自分の知識だけで判断するのではなくぜひ税理士や弁護士などの専門家に相談してみてください。
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