2024.01.29

リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説!

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リースバックとは、簡潔に言えば「自宅を売却し、買主と賃貸借契約を結ぶことで、今まで通り自宅に住み続けられる方法」のことです。

高齢化が進む社会では、老後の生活に向けて資金を蓄えておきたいと考える人が増えてきました。テレビ番組のニュースやインターネット上でも、老後の資金対策についてよく話題になっていますよね。

さらに、新型コロナウイルスの影響によって住宅ローンの返済に不安を感じる人も少なくありません。

このような背景から、不動産の資金化方法としてリースバックがここ数年でさらに注目されています。

また、不動産の相続を巡るトラブルを避けるために、資産整理の手段として利用する人も増えています。

本記事では、今後皆さんも利用することがあるかもしれない、リースバックの仕組みやメリット・デメリットについてわかりやすく解説しています。興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

リースバックとは?

リースバックは「セール アンド リースバック」の省略であり、自己所有している不動産を売却して借り直す手法、つまり「自宅を売却し、買主と賃貸借契約を結ぶことで、今まで通り自宅に住み続けられる方法」のことをいいます。

つまり、リースバックは「不動産の売却と賃貸」を組み合わせたものなのです。

不動産を「売却」することによって売主はまとまった資金を得られ、なおかつ「賃貸」によって自宅に住み続けることができるこの画期的な仕組み。

便利さと手軽さに魅力を感じる分、「本当に利用して損はないの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

リースバックの手続きの流れ

リースバックとは、前述したように自己所有の不動産をリースバック業者に売却し、かつ賃貸借契約を締結し、家賃(リース料)を支払うことでその不動産に住み続けられる仕組みです。ここでは、リースバックの具体的な手続きの流れなどを説明します。

リースバックの手続きの流れ

リースバックの手続きの流れは以下の通りです。業者によって異なりますが、一般的には申し込みをしてから2週間〜1ヶ月前後で売却金が入金されます。

  • リースバック会社の選定
  • 無料相談・査定依頼
  • 簡易査定(売却価格と家賃)
  • 訪問査定
  • 買取価格(売却価格と家賃)の提示
  • 保証会社の審査
  • 不動産売買契約
  • お引き渡し・賃貸借契約
  • 家賃の支払い開始

リースバックの利用制限

リースバックを申し込むにあたって、住宅ローンの残債がリースバックによる買取金額より高い(オーバーローン状態である)ケースでは、その利用が制限されてしまいます。

なぜなら、家賃に加えて住宅ローン残債の支払いを行うとなると、支払い困難に陥る可能性が高く、リースバック業者としてもリスクが高くなるからです。

また、安定した収入がないケースについても、家賃の支払いが困難となる可能性が高く、利用制限を受ける可能性があるでしょう。

ほかに、リースバック対象の不動産が共有名義の場合には、その名義者全員の同意がなければトラブルが生じる恐れもあるため、利用制限を受ける可能性があります。

リースバックと不動産担保ローンの違い

リースバックと同様に自宅を活用した資金調達方法には、「不動産担保ローン」と呼ばれるものもあります。

不動産担保ローンとは、「自宅を含めた幅広い不動産を担保として提供することで、融資を受ける」という手法のことです。融資後は、毎月元本と利息を返済していきます。

不動産担保ローンは、リースバックと同じく自宅に住みながら資金調達できます。万が一、返済不能となった場合は、担保にした不動産を売却し返済に充てなければなりませんが、長期にわたってまとまった金額を借入れできるのはメリットだと言えるでしょう。

では、リースバックと不動産担保ローンはどのような点が異なるのでしょうか。

リースバックと不動産担保ローンの大きな違いは、「自宅の所有権の有無」です。

どちらも自宅に住み続けながらまとまった資金を得られるという点は共通していますが、リースバックは「売却」の性質を持つ手段で、不動産担保ローンは「融資」の性質を持つ手段なので、それぞれ位置づけが異なります。

リースバックでは、自宅を売却する=自宅の所有権がリースバック業者に移転します。しかし、不動産担保ローンは自宅を担保にするだけなので、所有権は移転されません。

また、リースバックで得た資金は、該当不動産の売却益という扱いになりますが、不動産担保ローンで得た資金は返済の義務がある借入金です。そのため、契約後には利息を付けて返済を続ける必要があります。また、万が一返済不能となった場合、担保にした不動産は売却されることとなり、その売却金から元金と利息が回収されます。

リースバックと不動産担保ローンには、それぞれにメリット・デメリットがあります。また、このほかにも「リバースモーゲージ」など、自宅を活用した資金調達の方法はあります。そのため、自身に合った方法やサービス内容を見つけることが大切です。

リースバックのメリット・デメリット

リースバックにはさまざまなメリットがある反面、知っておかなければならないデメリットもあります。ここでは、リースバックのおもなメリットとデメリットをそれぞれ解説しています。

リースバックのメリット

売却後も自宅に住み続けられる

リースバックの最大のメリットとしては、売却後もそのまま自宅に住み続けることが可能であることが挙げられます。

通常の不動産売却であれば、売却をするとともに家を明け渡す必要があります。新しい住まいの手配や室内の清掃など面倒なことも多いですし、賃貸住宅に入居する際は礼金や仲介手数料、引越し代などの出費がかさみます。

リースバックを利用すれば、周囲に売却の事実や理由を知られることなく資金を得られますし、住み慣れた家を退去しなくて良いので、お子様のいる世帯やシニア世帯にとって非常にありがたいですよね。

即金性がある

リースバックは、最初からその不動産を業者が買い取ることが前提となっているので、買主を探す手間がかかりません。そのため、早く資金化したい人に有効な手段だといえます。申し込んでから現金化までは、だいたい2週間〜1ヶ月というスピードです。

一般的な仲介によって不動産を売却するとなれば、現金化まで早くても数ヶ月は必要になります。売りに出したところで買い手が見つかる保証もなく、早く資金を得るのはなかなか難しいでしょう。

借金せずに資金調達できる

リースバックは、自宅の売却によって資金を得るので、不動産担保ローンのような借金を背負う心配がありません。また、売却によって得た資金から住宅ローンの残債を返済するので、リースバック後に住宅ローンを支払い続けなくても良くなり、安心して老後の資金調達ができます。

また、リースバックによる売却で得た資金は、用途を制限されないので、事業資金や生活費などさまざまな目的で利用できるのも魅力の一つです。

ランニングコスト等の軽減

不動産を所有していると、住宅ローンのみならず固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。また、建物の修繕費や火災保険料といったコストもかかり、いつどのくらいのお金が必要か資金計画を立てておかなくてはならないため、その手間も含めて長い目で見たときの負担は馬鹿になりませんよね。

リースバックによって所有権を手放すことで、税金は新たな所有者が負担してくれますし、その他の費用も毎月一定の家賃を支払えばよくなるので、負担が軽減されるでしょう。

売却した家を買い戻せる

リースバックのなかには、「買戻し特約」を付けられる契約もあります。この特約は、一定の期間内に契約で定めた金額を支払えば、売却した不動産を買い戻せるというものです。

将来的にもう一度所有権を取り戻したい(自宅を買い戻したい)と考えている場合は、必ず書面での特約を交わし、買い戻しについてその条件や金額の設定方法を確認しておくようにしましょう。

リースバックのデメリット

売却金額が相場よりも安い

リースバックにおける売却金額は、一般的に周辺相場の60%〜90%となります。そのため、通常の不動産売却による査定額よりも安く買い取りされてしまう可能性が高いです。

業者に査定をしてもらう際には、そのエリアの物件に詳しい不動産仲介会社等に買取査定額を出してもらうなど、査定額の妥当性について客観的に考えるようにしましょう。

家賃が相場より高くなる可能性がある

リースバックによる家賃設定の目安は、売却価格の8〜10%程度です。通常であれば周辺の家賃相場を参考に家賃が決まるのですが、リースバックの場合はあくまでも買取価格に対する利回りを考慮して設定されるからです。

そのため、一般的には売却額が高ければ高いほど家賃も高く設定されるようになっており、周辺の類似物件よりも家賃が高く設定されてしまう可能性も高いでしょう。

せっかくリースバックを利用して資金を得たのに、家賃が高すぎて生活が回らなくなっては困ります。買取価格とその後支払っていく家賃については、バランスを見て妥当かどうかを判断しなければなりません。

退去しなければならない可能性

リースバックは、自宅の売却後も引っ越しが不要でそのまま住めるのがメリットです。しかし、賃貸借契約を結ぶ際、多くの業者では「定期借家契約」となります。

定期借家契約の場合、契約期間が満了した後に更新という概念はありません。再契約することも可能ですが、必ず再契約できると保証されているわけではないことに注意が必要です。もし、長期的に住み続けたいと考えてる場合には、定期借家契約だけではなく「普通借家契約」が選べる業者を利用すると安心です。

買い戻し金額が売却時より高い

買い戻しを検討している場合には、その金額が売却時よりも高くなる可能性があるということに注意しなければなりません。

業者や物件にもよりますが、売却価格の1.1〜1.3倍程度となることが多く、契約条件などそれなりにハードルも高いため、将来の買い戻しについては条件や価格設定の方法について確認しておいたほうが良いでしょう。

リースバックの活用事例

リースバックの主な活用事例は下記の通りです。

老後資金にしたい

老後資金が必要となった際、高齢であると金融機関からの借り入れが難しくなってしまいます。しかし、リースバックには年齢制限がないので、シニア世代でもまとまった資金を手に入れられます。

住み替えたい

リースバックは、自宅を売却して別の場所に住み替えたい場合、住み替えにかかる費用を確保する手段にもなります。資金調達できるだけでなく、住み替えるまでの期間は自宅に住み続けられるので、仮住まいを用意しなくても良いのです。

住宅ローンの完済、月々の支払い額を減らしたい

リースバックのメリットでも挙げたように、リースバックを利用すれば月々の支払い額を減らせる可能性があります。また、リースバックで得た資金で住宅ローンを完済できれば、何十年という期間もローンに悩まされることがなくなります。

家賃が住宅ローンの返済額よりも低くなれば、月々の支払い額が減って資金繰りが楽になるでしょう。

相続対策

自宅を巡る相続によるトラブルを避けるために、リースバックを利用するという方法もあります。自宅を売却しておけば、不動産は現金化され、相続人の間で均等に配分できます。

まとめ

リースバックは資金調達などの有効な手段ではあり、生活環境をガラッと変えずに済む点でもメリットは多くあることがわかりました。一方で、デメリットもいくつかあって、決して誰もが得をする方法とは言えません。

リースバックを検討する際には、メリットとデメリットを天秤にかけて慎重に判断することが大切です。

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