2024.01.29
コラム
2024.01.29
不動産について学んだり、住まいを選んだりする際にはさまざまな選択肢があるでしょう。その中でも、リースバック契約は非常に注目される選択肢です。この記事では、初心者の方々へ向けて、リースバック契約の基本情報から退去の流れまで説明します。とくに現金を即座に手にしたい人には、リースバック契約は非常に有効な選択肢です。ぜひ最後までご覧ください。
リースバックとは、近年非常に利用者数を増やしている不動産取引形態です。システムとしては、自分が保有している戸建てやマンションなどの自宅を一度売却し、同時に賃貸借契約を交わしてそのまま同じ家に住み続けるというシステムです。リースバック契約では、売却するための売買契約と、借りるための賃貸借契約を同時に交わすことがポイントです。こうすることで、買い手に困らずに即座に売却でき、まとまった資金を得られたり、近隣の住民に売却したことを知られずに済んだりします。
とくに、マンションよりも戸建て物件においてリースバック契約を利用する人が多いようです。その理由としては、次項でも説明しますが高齢化問題や社会情勢が絡んできます。
日本では、リースバックが普及しだしたのは1960年代からだと言われています。リースバック会社の多くは戦後の1960年代に設立され、徐々にその仕組みが広がっていきました。ここで言うリースバックとは、主に個人が所有している住宅の所有権を第三者に譲り、その売却益を受け取り、新たにリース料を支払いながら住み続けるというもので、法人向けのリースバックの普及はされていませんでした。
バブルの崩壊後には、不動産の証券化の手法が大きく取り入れられたということもあり、経営がうまくいかなくなった不動産に関してはすぐに売却され、賃貸として営業する、という手法がよく取られるようになりました。
しかしながら、戦後からバブル崩壊後まで、こうした動きはリースバックとしては認知されていませんでした。現在のような不動産会社やファイナンス会社が運営するリースバックの仕組みや用語自体は、2010年頃から急速に普及し始めたのです。背景にはインターネットの普及や近年のトレンドが関係しています。インターネットの普及により情報が即座に広がる時代となり、ネット広告を打ち認知度を高める不動産会社が増加しました。また、近年のサブスクやレンタルの考え方の普及から、一気にリースバックに関する認知が高まりました。
先程軽く触れましたが、リースバック利用者は近年増加しています。この現象には、日本の社会的な背景があります。具体的には、下記のような理由があります。
日本の高齢化率の上昇は、リースバックの利用者数に大きく関係しています。今後、ますます高齢化社会となっていくと予想されていますが、高齢者は当然ながら働くことはできません。年金と、これまで貯金していた預金分で生活するようになります。そうすると、趣味や娯楽に使うお金は限られてきて、孫ができても何もしてあげれなくなってしまいます。そのような時にリースバック契約が登場します。とくに日本の高齢者は持ち家率が高いため、持ち家をリースバックして手放すことで、同じ家に住み続けながらも大きな売却益を得られます。つまり、持ち家を利用した資金調達方法として、高齢者に多く利用されるようになり、リースバックの利用数が増加しているのです。今後も高齢化社会で高齢者が増加することに比例して、リースバック利用者も増加すると考えられます。
社会情勢の悪化に関しても、リースバック利用数の増加に関係しています。厚生労働省によると、日本の平均所得は増加しておらず、逆に減少傾向にあるようです。加えて、近年の新型コロナウイルスの流行や物価の高騰など、社会情勢は目まぐるしく変化し、悪化する方向へと導かれています。そのような社会情勢から、住宅ローンを支払えなくなった人や、生活資金が少なすぎて困窮する人が多く見受けられます。そのようなときにリースバックの出番です。リースバック契約を交わすことで、売却により得た現金を住宅ローンの返済に充てられたり、生活資金を補うことに役立ったりします。こうしたことから、リースバックへの関心はますます高まることだと予想されています。
まずは不動産会社やファイナンス会社などの運営会社に退会予告をします。通常は、退去の1ヶ月前に報告するようになっています。ただし、いつ伝えるかに関しては業者により異なる場合があるため、契約書の内容をよく確認しておきましょう。
当然ながら、退去後は新しい家に住むことになるため、引っ越しの手続きが必要です。退去前に新しい家を探しておき、資金計画も同時に立てておきましょう。どの賃貸物件でも同様ですが、退去時に自身の所有物を置いたまま退去することは認められません。
水道光熱費の業者との契約解除も忘れないようにしましょう。リースバック契約で住んでいる家は長年住んできた家であるため忘れがちです。退去の当日には、業者に鍵を返却し、心置きなく、トラブルなく退去しましょう。
リースバックは、通常2〜3年での契約を定められることが多く、その都度契約更新する必要があります。こうした契約更新のタイミング(契約満了のタイミング)で退去を考えてもいいでしょう。仮に契約更新しようとする際には、家賃の値上げを要求されてしまうことが多いようです。このように目に見えるように条件が悪くなってしまう可能性があるため、それが嫌なのであれば退去を検討してみてください。
リースバックは現金を得られる点や同じ家に住み続けられるというメリットがある一方で、相場価格よりも家賃が高く設定されてしまうことがあります。その理由としては、買取価格に応じて家賃が設定されるためです。そのため、とくにマンションのリースバックでは、周辺の物件で今の住んでいる物件よりもいい条件の物件があれば、タイミングを見て退去を検討してみてもいいでしょう。
リースバックのメリットの一つとして、売却後も買い戻せるという特約を付けられる点が挙げられます。しかし、この利点を利用しない、つまり買い戻すことは無いと判断した場合には、リースバック物件からの退去を検討してもいいかもしれません。先述した通り、リースバックは周辺の相場価格よりも高く家賃設定されていることが多く、無駄に高い家賃を支払ってまで同じ家に住み続けるべきなのか疑問に思うことがあるでしょう。家賃負担と不満だけが募っていくようであれば、他の物件を探しましょう。
まずは当初の契約書を詳細に確認しましょう。契約書には、退去に関する条件や注意事項が1から10まで記載されています。とくに、下記の点に注意しましょう。
退去の通知期間:通常、リースバックの契約内容には、契約更新に関して通知期間があります。この通知期間内に、契約解除して退去するのか、それとも契約更新して住み続けるのかを判断する必要があります。
退去時の家の状態:退去時の原状回復義務に関して、どこまで自分が負担する必要があるのかを確認します。通常であれば賃貸として家を借りているため、入居時の状態に戻す必要がありますが、リースバック契約の場合は賃貸契約を交わす前から住んでいるため、この原状回復義務の責任の所在が曖昧になりがちです。そのため、本来は契約時にそうした提議を明確にしておくべきですが、契約時にそうした話をしなかったのであれば、まずは不動産会社に問い合わせてみましょう。
保証金に関しての条項:リースバックの契約書には、各種保証金の返還に関する条件が記載されています。住宅を契約範囲内で原状回復し、手放すことで一定の保証金を得られる可能性があるのです。契約書に記載があるのに申告をせずに退去してしまうと、大きな機会費用を失うことになります。
先述しましたが、リースバック契約は賃貸契約となっているため、退去時には元の状態に戻す必要があります。修繕する際には、床や壁、キッチン、バスルームなどを清潔に戻すことや、壁や床に穴や木津があれば修繕すること、庭や外装などに関しても損傷があれば修復しましょう。
退去に関する手続きは、管理会社となる不動産会社やファイナンス会社とのコミュニケーションが重要になります。リースバックにおいてトラブルになっている要因として、この家主とのコミュニケーションがうまくいっておらずお互いの主張がぶつかり合うということが挙げられます。円滑に退去するためにも、事前の報告や相談、責任の所在の確認などを行い、契約条件に則って退去することが望ましいでしょう。
リースバック契約の満了、解約から退去に至るまで、自分でよくライフプラン等を考えて決断してください。退去するにせよしないにせよ、どちらにしてもお金はかかります。そのため、退去した場合としない場合でどちらが得であるのかを判断するべきです。金銭的な負担での損得のみを考えるのではなく、今後どのようなライフプランを描き、どのような人生を歩みたいのかを考えるようなソフト面での検討も必要です。一人で悩むのではなく、家主や家族、専門家、友人などさまざまな角度からの意見を聞きつつ決断に踏み切るようにしましょう。
この記事では、リースバックの基本情報から退去の流れに関してまとめました。リースバックは、この記事では説明しきれませんでしたが非常にメリットが多い不動産取引形態で、近年利用者数は増加しています。しかし、リースバックで後悔しないように、事前に情報を多く集めておく必要があります。そんな時にこの記事が役に立てばいいなと考えています。もし実際にリースバックに踏み切る際には、ぜひ再度この記事を読み返してみてください。それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。
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